監視環境構築の効率化・工数削減と
アラート発報の速報性の向上を実現
サービス開始後、最初はTOPPANグループの企業が採用し、各社で利用するクラウドシステムの監視・運用で利用を開始した。2023年10月に1社目が導入を決定してから1年間で4プロジェクトが採用し、現在もグループ企業への展開が続いている。同サービスでは、最初にお客様とのヒアリングを通して監視・運用項目を決定し、運用設計、環境構築/設定、テスト・移行を経て監視・運用の開始となる。導入期間は約2〜3カ月だ。
Datadogの利用サービスは現在、インフラ監視、ログ監視、外形監視の3つが中心で、サードパーティのインシデント管理ツールと連携し、問題を検知した際は自動的にお客様とオペレーターの双方に通知が届く形で運用している。システム企画本部 システム技術部 インフラ管理グループ マネージャーの福芳寛氏は「お客様ごとに監視したい項目はさまざまで、ホスト監視で十分といったケースもあれば、細部まで見たいというケースもあります。Datadogは監視メトリックスが多岐にわたるため、必要に応じてドキュメントを調べたり、サポートに問い合わせたりしながらナレッジを貯めていきました」と振り返る。
Datadogの導入で得られた効果の1つは、監視環境構築の効率化・工数削減だ。
「お客様先のオンプレミス環境で外形監視を実施する際、スクリプトの作成は1週間程度かかるのが一般的です。Datadogなら数時間で終了し、さらにテスト工程も省略できるため、大幅な工数削減になりました」(猪股氏)
Datadogとインシデント管理ツールの連携により、速報性が向上するとともにオペレーターの負荷が軽減されたことも大きなメリットだ。
「オンサイトの現場では、アラートが発報された際、オペレーターがコンソール画面や資料を見ながらお客様に電話などで通知しています。Datadogなら自動でお客様に通知が届くため、5分以上の時間短縮が実現しました。自動化によりオペレーターによる報告ミスのリスクも減り、精神的な負担軽減にもつながっています」(福芳氏)
同社が推進するDX戦略においても、新規サービスとしてリリースした「リモート監視・運用サービス」への期待値は高い。システム企画本部 NEXT企画・販促部 部長の石井一成氏は「NEXT PROJECTの成果として順調に滑り出し、TOPPANグループにおけるシステム運用の負荷軽減に貢献することで、シナジーを発揮することができました。現在は、外販の拡大に向けて、さらなるサービスの拡充と新規サービスの創出に取り組んでいます」と語る。
今後は、Datadogのサービスとしてアプリケーション監視(APM)やデータベース監視(DBM)を提供し、さらにはお客様自身でAPMやDBMなどを活用した監視・運用ができるマネージドサービスプロバイダー契約の展開も構想している。
「当社で確立した監視・運用の仕組みを自分たちで使ってみたい、可観測性を高めたいといったお客様に対して、私たちがお客様環境にDatadogを導入して監視体制を確立するサービスを通して、協創関係を深めていきます」(石井氏)
また、リモート監視・運用サービスとして、ホスト監視に留まることなく、システム全体に拡大し、クラウドネイティブな監視サービスの実現を目指していく計画だ。
「クラウドシステムでは、サーバーレスやマネージドサービス全体の監視や、Webアプリケーションではコンテナの監視も必要です。これらをすべて包括したサービスを提供し、お客様環境の監視レベルの向上に貢献していきます」(猪股氏)
NEXT PROJECTの成果として順調に滑り出し、TOPPANグループにおけるシステム運用の負荷軽減に貢献することで、シナジーを発揮することができました
石井 一成 氏
TOPPANエッジITソリューション株式会社
システム企画本部 NEXT企画・販促部 部長
ホスト監視だけでなく、サーバーレスやマネージドサービスなどクラウドネイティブな環境の監視に拡大していきます
福芳 寛 氏
TOPPANエッジITソリューション株式会社
システム企画本部 システム技術部 インフラ管理グループ マネージャー