ソフトバンクはスマートフォンを中心としたサービスや5Gネット
ワークで通信事業を強化するとともに、AIやIoT、ビッグデータな
どの活用や、グローバルに事業を展開するグループのテクノロジ
ー企業群とのコラボレーションにより、革新的な新規事業を創出
し、さらなる事業成⻑を目指している。
最先端領域であるほど、ビジネスニーズの変化はめまぐるしい。
それはアプリケーションに仕様変更をもたらし、開発者たちを何
度も翻弄させてきた。ソフトバンクは変化に柔軟かつ迅速に適応
できるように、2018年からアジャイル開発とDevOpsのための環
境構築に乗り出した。CI/CDパイプラインを実行し、作業の自動
化を図る。主眼はアプリケーション開発の効率化や迅速化なので、
環境構築や運用監視の作業負荷は極力抑えたい。インフラは開発
から商用環境への移行がスムーズにできて、継続的に稼働できる
必要がある。
「Datadogはアプリケーションがリリースされた後、運用保守段階で使う監視ツールというイメージでした。しかし実際にDatadogを利用してみると、開発段階からチームに恩恵をもたらすツールだと分かりました。例えばAPMで実装したAPIの処理性能をすぐ確認できて、ボトルネックの早期発見に役立ちます。アプリケーション開発にとても役立っています」
ソフトバンク株式会社
IT-OTイノベーション本部
CoE統括部 超分散基盤技術部
今野 慎太郎 氏
新しいDevOps環境はクラウドベースのコンテナ(Kubernetes)上で
構築することになっていた。監視ツールに目を向けると、従来オンプ
レ中心に利用していたものでは不向きなので、あらためてコンテナに
対応した各種監視ツールを比較検討した。結果的にDatadogが構築工
数の低さ、クラウドとオンプレとの連携、ツール移行に伴う学習コス
トの低さで優位となり採用。必要な機能がDatadogで揃う統合ツール
であることも魅力となった。
まずはAPM、リソースやミドルウェアのモニタリング、ダッシュボー
ド、ログ管理から試し、統計作成やボトルネック分析などが、わずか
1ヶ月で導入が完了。ソフトバンク 山根氏は「操作はすぐに覚えられ
ました。10分程度でホスト100台設定できてモニター設定が簡単、連
携機能が豊富。動的に変化する環境や複雑な監視にも対応できるとこ
ろもいいです」と評価。既存監視システムとの連携も含め、50程度の
連携機能を導入している。
導入当初、利用するパブリッククラウドはAWSのみだったが、後で新た
にMicrosoft Azureも加わり、マルチクラウド体制となった。大きな構成
変化となるにも関わらず、作業はほぼインテグレーションの追加のみで、
クラウド間の違いをほぼ意識することなくマルチクラウドモニタリング
ができている。Datadogを活用するユーザーは開発者から運用担当者ま
で社内で約300人にわたる。
利用開始から約2年が経過し、Datadog活用はブラッシュアップされてい
る。例えば「こうした観点で計測したいのでラベルをつけてほしい」と
部署間で要請するなど、リアルタイムで多様なモニタリングが行われて
いる。異常を早期に検知し、深掘りすることで原因究明と障害発生防止
にも役立てている。
「Datadogを導入することで、それまで難しかった全体を俯瞰したリソース監視が可能となりました。たとえばダッシュボードから横串で見渡し『CPUが残り5%しかない』と把握できるようになり、上部への報告にも役立てています」
ソフトバンク株式会社
IT-OT イノベーション本部
CoE統括部 テクニカルマネジメント部
鈴木 高文 氏
「Datadogを活用したDevOps基盤が構築できて、豊富なモニタリングとコスト最適化が実現できました。Datadogはマルチクラウドを意識することなく可視化できて、アプリとインフラ担当の共通言語となっています。今後はセキュリティ強化にも役立てていきたいと考えています」
ソフトバンク株式会社
コアネットワーク本部
クラウド基盤R&D統括部 クラウドネイティブ技術部
担当部⻑
山根 武信 氏