日常生活とともに学校生活もデジタル化で急速に様変わりしている。
教育現場では新教育課程に沿うように資質・能力の育成が重要となり、
時代に適した新たな役割を形にしていく必要がある。そこでClassiは
データやテクノロジーを用いて、先生とともに生徒が主体的に学び続
けられるようなプラットフォームを提供している。
Classiには、校内でのICT活用を促進する「コミュニケーション」、生
徒の個別最適な学びを支援する「ラーニング」、データを用いてより
生徒と深く向き合う「コーチング」と、大きく3つの機能がある。外部
の教育コンテンツとの連携を広げるなど、Classiは未来を創る生徒た
ちの可能性をプラットフォームで支えている。2022年4月からは公立
小中学校向け保護者連絡サービスtetoruの提供も開始した。
ClassiのインフラはAWSのクラウドをベースに構築している。利用者
となる学校関係者や生徒が心地よくClassiを使えるようにするために
は、必要なタイミングでクラウドのリソースを素早くスケールアウト
する必要がある。同時にコスト最適化のためにスケールインが必要な
時もある。
通常、利用トラフィックは朝の時間帯や試験期間中に高くなり、長期
の休校期間中は低くなるなど一定の傾向がある。ところが自然災害が
発生して連絡網が活発になるなど、予期せぬトラフィックの変動が生
じることもある。利用状況に応じて的確かつ迅速に対応できるように
するためには、モニタリングの効率性が欠かせない。しかしかつては
モニタリングやエラートラッキングツールは複数のSaaSを使い分けて
いた。
「かつてはAPMとシステムのモニタリングツールが別々で、トラブルシューティング時などシステム全体を俯瞰するには複数のサービスを開く必要があり、効率面で課題がありました。また新しい開発者のオンボーディングのための管理者の作業、開発者の学習コストを考えても改善が必要でした」
Classi株式会社
開発支援部 中澤 亮太 氏
ClassiがDatadogを導入開始したのは2019年。導入から一段落ついたころ
新型コロナウイルスが猛威を振るい始めた。全国の学校が感染防止で一斉
臨時休業となったためオンライン学習プラットフォームの需要が高まり、
2020年4月にはClassiの利用者が9倍に急伸した。クラウドでインフラを構
築していたため拡張性はあったものの、あまりの急伸でサービスの稼働状
況に問題が生じることもあった。
利用者が急増した直後はサービス安定稼働を最優先とし、Datadogも活用
しながらシステムを徹底的に改善した。特に性能のボトルネックとなって
いたのはデータベースだった。最上位のインスタンスに変えても不十分で、
クエリーを改善していく必要があった。
「DatadogならAWSのメトリクスを一通り取得できます。CPUやメモリの変動が見やすくなりました。インフラ強化としてAWS EC2からECSFargateへと移行する時には、Datadogでリクエストの変動やロードバランサーの稼働状況をモニタリングしながら安全に移行できるようにしました。またAPMを通じてN+1クエリーなど性能劣化につながる問題を洗い出し、性能改善につなげました」
Classi株式会社
プロダクト開発部 遠藤 悠大 氏
今ではDatadogはホストやコンテナのリソース監視、モニター検知に役立
てられている。データベースのメトリクスも横並びでモニタリングしてい
る。また各種アプリケーションにはAPMを導入している。性能で問題が
発生すると、APMでアプリケーションの複雑な依存関係を追跡し、原因
特定につなげることもある。
特に開発現場ではDatadogが定着している。それぞれが開発中にDatadog
を使うだけではない。チームの定例会でも全員でDatadogでレビューする
時間を設けるほど、組織として性能改善に精力的に取り組む体制になって
いる。そのためダッシュボードの使いこなしノウハウの共有も盛んだ。例
えばテンプレート変数を使えば、1つのダッシュボードをステージング環
境用と本番環境用に簡単に切り替えることができるといった機能は社内で
好評だった。
現状では稼働状況をDatadogからSlackに送信し、そのモニタリング結果
をもとにAWSのリソースを調整するなど運用に役立てている。将来は発
報したアラートをもとに自動スケールやオートヒーリングなど、運用の高
度化も考えている。
「今の高校生はさまざまなWebサイトやサービスを使いこなしています。ClassiがTwitterやInstagramのようにストレスなく、いつでも使えるようなサービスにしていきたいと考えています」
Classi株式会社
プロダクト開発部 安田 智春 氏