プラットフォームのリアーキテクティングにおける設計段階でDatadogを活用
同社独自のユニークな使い方が、プラットフォームのリアーキテクティングにおける設計段階での活用だ。同社では2020年頃より機能追加、デプロイ、監視等の運用課題の改善に向けて、ビズリーチのプラットフォームをモダナイズするリアーキテクティングに取り組んでいる。複数のプロダクトの中から段階的に新アーキテクチャに切り替えていくプロジェクトにおいて、新旧アプリケーションの性能比較などでDatadogを利用している。リクルーティングプロダクト本部 ビズリーチプロダクト部 新CRS開発グループの内田大暉氏は次のように語る。
「既存のアーキテクチャでアプリケーションの性能を確認し、処理のボトルネックを特定したうえで改善点を検討しています。例えば、Datadog APMでアプリケーションの情報を参照してクエリのボトルネック、N+1問題などのアンチパターンの発見、処理遅延などの情報を確認し、開発チームのメンバーとリクエストの分割や非同期対応といった対策を議論しながら新しいアーキテクチャを設計しています」
新アーキテクチャをリリースした際にはダッシュボードを作成し、処理の遅延箇所を特定して改善を進めている。リクルーティングプロダクト本部 ビズリーチプロダクト部 新CRS開発グループの澁谷悠大氏は「レスポンスの時間が何ミリ秒以上ならアラートを発報するといったルールを設定し、ダッシュボード上で発報頻度を確認しながらモニター改善の判断材料にしています」と説明する。
リアーキテクティングでは、旧から新への100%切り替えでなく、両者を並行稼働させユーザの流入率などをみながら10%、50%といった段階的に切り替えるカナリアリリースのアプローチを取っている。切り替えの判断に欠かせないのが、性能やエラー率をまとめたダッシュボードだ。
「旧から新へ一度に切り替えてしまうとパフォーマンスや機能面で問題が発生した時の影響範囲が大きいため、プロダクトオーナーとダッシュボードを見ながら切り替えのステップを判断するのにもDatadogを活用しています」(内田氏)
フロントエンドのオブザーバビリティを重視する新アーキテクチャにおいて、フロントエンドをリアルタイムで監視するDatadog RUMも有効だという。
「バックエンドとフロントエンドを統合的に監視することで、エラー発生時のユーザーの挙動を正確に把握したり、レスポンス遅延時の障害を特定したりすることができます。Webブラウジングをキャプチャして視覚的に再生するDatadog RUMのセッションリプレイの機能は、状況の理解やプロダクトオーナーへの説明にも役立っています」(内田氏)
Datadogに関しては、高速レスポンスや表示スピードの速さ、初心者でも扱いやすい操作性などを評価。2023年に新卒入社した澁谷氏は「新卒入社で初めてDatadogに触れましたが、すぐに慣れて使えるようになりました。欲しいクエリ情報の取得をアシストしてくれるサジェスト機能も便利です」と語る。
このように、モニタリングからリアーキテクティングまでさまざまな用途で活用されているDatadogは、ビズリーチ事業の拡大に欠かせないツールとなっており、今後も継続的な改善と活用の拡大を進める考えだ。
「2018年から6年間で開発チームは5倍の約20に増え、開発メンバーも倍増していますが、その成長に耐えているのもDatadogのおかげです。今後も運用監視をベースとしたSREの民主化を進め、各チームがインフラからアプリケーションまで一気通貫でカバーできる環境を整備していきます。また、サービス増、チーム増に備えてDatadogを起点とした運用の自動化にも取り組んでいきます」(菊池氏)
プラットフォームのリアーキテクティングにおいて、アプリケーションのパフォーマンスを検証しながら段階的にリリースするのに、Datadogのダッシュボードが役立っています。
内田 大暉 氏
株式会社ビズリーチ
リクルーティングプロダクト本部
ビズリーチプロダクト部
新CRS開発グループ
Datadogを使い始めて約1年ですが、クエリで欲しいデータが何でも取得できますし、クエリのサジェスト機能も優秀なので助かっています。
澁谷 悠大 氏
株式会社ビズリーチ
リクルーティングプロダクト本部
ビズリーチプロダクト部
新CRS開発グループ